Linking Work & Life
通関士
「経験こそすべて」その想いを、
次の世代へ伝えたい。
SBSで見出した、私の新たな役目。
- 入社した年
- 2023年
- 家族構成
- 妻、娘
- 休日の過ごし方
- マラソン

一歩ずつ、着実に。小さな積み重ねが信頼につながっていくと信じて
SBSロジコムには2023年に入社し、現在はセンターでの通関業務を担当しています。通関士の仕事は、輸出入される貨物の通関手続きを行うこと。輸出入申告書の作成や税関への申告、関税計算などを担当し、貨物がスムーズに国境を越えられるよう、橋渡しをしています。
輸出入に関する法律は毎年変わりますし、世界情勢によっては国と国との取引ルールも大きく変化します。日本と他国間で結ばれる経済連携協定なども毎年新しくなっていくため、常に最新の情報をキャッチする努力は怠れません。
20年以上キャリアを積んだ今でも感じるのは、「まだまだ勉強が足りない」ということ。SBSロジコムへの入社を決めたのも、自分の経験を最大限に活かしながら、新たなチャレンジができると感じたからです。
私は、若い頃から「毎日何か一つは新しいことを吸収しよう」という姿勢を持ち続けてきました。どんなに忙しい日でも、一つの法改正、一つの貿易ルールを理解して帰る。この小さな積み重ねが、いつか業務で必要になった時の助けとなり、自信に変わり、お客さまからの信頼へとつながっていくのです。

「生きた経験」を積むことで、仕事の本質を理解してもらいたい
2023年10月、SBSロジコムは改めて通関部門を設けました。私はこの通関部門を支える立場として、後進の育成という役割も担っています。現在所属しているセンターは経験の浅い課員が多く、通関士資格の取得を目指している段階です。彼らの姿を見ていると、20年前の右も左もわからなかった自分の姿が重なることがあります。
先日、ある担当者の申告が税関審査の対象となりました。これまでは私がすぐにサポートに入っていたのですが、その時はあえて一歩引き様子を見ることに。税関が何を求めているのか、どのように対応すればいいのか。いつまでも手助けしていては、本質は理解できません。自分たちで悩み、必死にもがくことでしか得られない「生きた経験」を、彼らにはして欲しかったのです。
通関士として税関に申告するということは、その書類に間違いがないという責任を負うこと。もし間違いがあっても、「上長が確認してくれなかったから」とは言えません。だからこそ、通関業務従事者として働いている課員には、これが通関士になるための大切な準備段階だということを理解してもらいたいのです。今はまだ主体的にやらなくていいというわけではなく、自分が通関士になった時にどうすればいいのか、今のうちから学んで欲しい、そう考えました。
結局、彼はほとんど私の手助けなしで許可を取ることができました。必死に取り組む彼の姿を見て、ふと、「自分でよくそこまで調べて頑張ったな。それの繰り返しだぞ」と、新人時代に先輩から言われた言葉を思い出しました。私の役割は「経験がすべて」であることを伝え、そのきっかけを提供し、背中を押してあげること。彼らの成長を見守ることが、今の私にとっての大きなやりがいの一つなのです。

たった一件のミスでも失う信頼。決して妥協はできない仕事
私たちの仕事は、何件申告しようとも、そのすべてが100点でなければなりません。例えば100件の申告があれば、100件すべてが正確でなければならないのです。たった1件のミスでお客さまの信頼を失うだけでなく、大きな問題に発展する可能性があります。
もちろん人間である以上、ヒューマンエラーは起こり得ます。しかし、それを限りなくゼロに近づけるために、知識と経験を積み重ね続けることが、私たち通関士の使命なのです。
「プロ」とは何か。私の定義では、どんな質問にも即座に答えられる人のこと。例えば、弁護士に相談した時に「わかりません」と言われたら、信頼感が薄れてしまいますよね。「調べます」「他の人に聞いてみます」ばかりでは、お客さまは安心して仕事を任せられません。もちろん、実際は即答できないこともあるでしょう。しかし「この分野だけはどんな質問でも絶対に答えてみせる」そんな姿勢と覚悟は、持ち続けなくてはなりません。
特に通関の仕事では、法令や手続きに関する深い知識が求められます。自分が担当する分野のプロになることは、単に自己成長につながるだけでなく、お客さまの信頼獲得はもちろん、後輩の成長にも大きな影響を与えます。私がすべきことは、このプロ意識を若い課員にも植え付けること。私にしかできないことだと信じ、これからも彼らとは向き合っていくつもりです。
積み重ねがきっと力になる。その実感が、私の仕事の原動力
長いことこの仕事をしてきましたが、正確に仕事をやり遂げた時の達成感は、昔からずっと変わりません。100件の申告をミスなく完了してはじめて、お客さまの大切な荷物は海を越えられます。その時の「よし、やり切ったぞ!!」という感覚は、他では決して味わえないものだと思うのです。
新しい規則を覚えたり、難しい案件に取り組んだり、時には失敗から学んだり…。こうした日々の小さな成長の積み重ねが、いつの間にか大きな力になるんですね。この学びの過程自体を楽しいと感じられたことが、20年近くも通関士を続けてこれた秘訣かもしれません。
最近、プライベートでマラソンを始めました。運動不足解消のためですが、最初は1kmも走れなかったのが、半年ほど続けるうちに15kmも走れるようになったんです。走っている時は辛いですが、続けることで10km、15kmと少しずつ距離が伸びていきました。ここだけの話、ゆくゆくはフルマラソンに挑戦したいな、と考えています。
改めて考えると、「今日は10km走れたな。次はもう少し距離を伸ばそう」という向き合い方は、私の仕事のポリシーと似てますね。通関の仕事は、決して華やかとは言えません。それでもコツコツ地道に積み重ねていくこの仕事が、私は大好きです。
ライター:清水海斗
カメラマン:山辺恵美子
(インタビュー取材 2025年3月)
取材メモ:
一つ一つのポーズが様になる俳優さんのような風格。
書類を確認する時の力強い眼差しには、ミスが許されない通関士としての誇りが感じ取れました。
若手の成長を強く願い、惜しみなく手を差し伸べてくれる姿は、通関士のロールモデルそのもの。
今後も現場の第一線や育成の場で、大きな存在感を放ってくれるはずです。
